【実録】幼少期に住んだ隣家が崩壊…擁壁の老朽化を今すぐチェック!

不動産コラム

2024年9月30日、東京都杉並区堀ノ内で住宅の擁壁が崩れ、家屋が倒壊するという衝撃的な事故が発生しました。幸い死者・怪我人は0名でしたが、隣のマンションに瓦礫がなだれ込む大惨事となりました。

実はこの現場のすぐ隣に、私(弊社代表)が幼少期を過ごした家があります。他人事ではないこの問題について、現地取材を交えながら、擁壁の危険性と点検ポイントをわかりやすく解説します。

01事故の概要:杉並区堀ノ内で何が起きたのか?

Q
今回の杉並区の事故、どんな状況だったんですか?
2024年9月30日、東京都杉並区堀ノ内で住宅の擁壁(ようへき)が崩れ、家屋が倒壊し、瓦礫が隣接するマンションになだれ込む事故が発生しました。実はこの擁壁については、杉並区が以前から所有者に対して「崩れる恐れがある」として補強工事を行うよう指導していたにもかかわらず、工事が行われないまま倒壊してしまったんです。

幸いにも死者・怪我人は0名でしたが、隣のマンションの住民にとっては相当な恐怖だったと思います。

Q
建物はどのくらい古かったんですか?
調べたところ、昭和43年(1968年)築の建物です。私が生まれる前に建てられた家なので、当時でも相当古いイメージがありました。築50年以上ということになります。

02実録:私の幼少期の隣家が崩壊した

Q
今回の事故現場と個人的なつながりがあると聞きましたが?
ニュースで「杉並区で倒壊」と出た時点でピンときまして、住所を確認したら「堀ノ内」。私が小学生の頃、5年ほど堀ノ内に住んでいたんです。直感的にまずい気がして調べたら…崩壊した建物が、私の住んでいたアパートのまさに隣だったんです。すぐに現地に足を運んで確認してきました。当時よく遊んでいた坂道や路地がそのまま残っていて、懐かしさと同時に、あの家が崩れたという事実に複雑な気持ちになりましたね。

Q
当時、お隣の家はどんな状態でしたか?
子どもながらに「古いな」というイメージはありましたよ。道も狭くて車も入れないような路地でしたから。当時から正直、あまり整備された印象はありませんでした。表から見ると普通に家が建っているように見えていたんですが、裏側に崖があるとは子どもの頃は全く気づいていなかったんです。あの裏の遊歩道でよく遊んでいたんですが…。

03なぜ擁壁は崩れるのか?老朽化のメカニズム

Q
そもそも擁壁ってどのくらいで劣化するんですか?
擁壁の耐久年数は一般的に20年〜50年程度と言われています。今回の建物は築50年以上ですから、そもそも耐久年数の限界を迎えていた状態だったと言えます。さらに問題なのが、当時の擁壁の多くは建築確認申請を出さずに作られているケースが非常に多いこと。資料も残っていないことが多く、どんな強度で作られているかすらわからない擁壁が全国にたくさんあるんです。

Q
倒壊直前、ネットで擁壁が「膨らんでいた」という映像が話題になっていましたね。
そうです。倒壊直前から擁壁が明らかに膨らんでいる様子が確認できていました。所有者も気づいていたはずなんですよね。区も補強するよう指導していた。それでも動かなかった。問題は、擁壁は私有財産であるため、行政が強制的に修繕させることが非常に難しいという点です。「言っても言ってもやってくれない」という状況が続いてしまうんです。

04擁壁の「水抜き穴」が詰まると危険な理由

Q
「水抜き穴」というのが重要なんですか?
擁壁が崩れる大きな原因のひとつが「水圧(土圧)」です。擁壁の裏側に水が溜まると、その圧力で擁壁が押し出されてしまうんです。それを防ぐために水抜き穴(排水穴)が設けられています。現在の法律では3㎡ごとに設置が義務付けられているのですが、古い擁壁ではこの穴が草や土で詰まって機能していないケースが非常に多いんです。

穴が詰まる → 水が溜まる → 膨らむ → 崩れる、というプロセスで今回も倒壊したと考えられます。

Q
最近の豪雨も影響しますか?
それも大きな問題です。1時間に100mm以上の雨が降るような昨今の異常気象は、当時の設計基準では想定されていませんでした。仮に水抜き穴が機能していたとしても、処理しきれない量の水が流れ込む可能性があります。古い擁壁は「今の雨量に対応できない設計」になっていることを、ぜひ意識してほしいと思います。

05法律の変遷:宅地造成等規制法の改正ポイント

Q
法律の整備は進んでいるんですか?
以前から「宅地造成等規制法」という法律があり、崖がある危険なエリアは予め指定されていました。不動産取引の際には重要事項説明書にも記載が必要でした。ただ、従来は東京都内のわずか1割程度しか指定されていなかったんです。それが2024年(令和6年)7月の法改正によって、基本的に都内ほぼ全域が対象エリアとなりました

以前に比べてずいぶん整備が進んできています。熱海の盛土崩落事故を受けての改正です。

06今すぐできる!擁壁の危険サインチェックリスト

Q
自分の家の擁壁が危ないかどうか、どうやって確認すればいいですか?
まずは目視でできる確認からやってみてください。専門家に頼む前に自分でチェックできることもあります。

🔍 擁壁の危険サイン チェックリスト

  • 擁壁が外側にふくらんでいる(はらみ出し)
  • 水抜き穴から水が出ていない(詰まっている)
  • 水抜き穴に草や土が詰まっている
  • 擁壁にひび割れが入っている
  • 擁壁の一部が欠けたり崩れたりしている
  • 建物が昭和43年(1968年)前後以前に建てられた
  • 建築確認申請の資料が残っていない
  • ブロック積みの擁壁で、鉄筋が入っているか不明

ひとつでも該当する場合は、早めに専門家(建築士・行政)に相談することを強くおすすめします。擁壁の補修は費用がかかりますが、崩壊してからでは取り返しがつきません。心配な場合は引っ越しという選択肢も視野に入れてください。

07不動産購入・売却時に擁壁で注意すべきこと

Q
擁壁がある土地を購入する場合、特に注意すべきことは?
擁壁がある土地に家を建てる場合、費用と安全性の両面で注意が必要です。まず「30度線」というルールがあります。崖下を起点に30度の角度を引いた線の内側に家を建てる場合、基礎を「深基礎」にする必要があるなど、建築コストが大幅に上がります。擁壁の補強だけで何百万もかかることもあります。

一方で、こういった擁壁がある土地は相場より安くなる傾向があるため、「安いから」と安易に購入すると後で大きなコストがかかる場合があります。必ず専門家に確認してから判断してください。

Q
最近、お客様から擁壁についての問い合わせは増えていますか?
はい、明らかに増えています。「この物件の擁壁は大丈夫ですか?」「擁壁の状態を教えてください」という質問が多くなってきました。今回のような事故がニュースになることで、一般の方の意識も高まっています。日本は山も多く高低差のある土地がたくさんあります。擁壁の問題はひとごとではありません。きちんと説明できるプロの不動産会社に相談することが大切です。

08心配なときはどうすればいい?専門家への相談

Q
擁壁が心配な場合、まず何をすべきでしょうか?
まずは専門家(建築士や行政の担当窓口)に調べてもらうことを強くおすすめします。目視でチェックできることも多いですが、内部の状態はプロでないとわかりません。その結果、修繕が必要であれば行政に相談してお金をかけて補強工事を行うか、修繕が難しい・費用が過大な場合は引っ越しという選択肢も真剣に検討してください。

「なんとなく大丈夫だろう」で放置するのが一番危険です。早めに動くことが、自分と家族の命を守ることにつながります。

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