ブランドより利便性!2025年東京都の地価動向を不動産のプロがズバリ分析

不動産コラム

国土交通省が2024年9月に発表した「基準地価」。今年の特徴は単純な「値上がり」だけではありません。これまで常識とされてきた「城南エリアが高い」「ブランド地名が価値を持つ」という不動産の常識が、静かに崩れ始めています。不動産のプロが現場目線で、地価トレンドの本質を読み解きます。

01基準地価とは?公示地価との違いをおさらい

Q
「基準地価」って何ですか?よく聞く「公示地価」と何が違うんでしょう?
どちらも国が定める公的な土地の価格ですが、調査時点と発表時期が異なります公示地価は毎年1月1日時点の価格を3月頃に発表。基準地価は7月1日時点の価格を9月頃に発表します。つまり半年ごとに公的な地価が公表される仕組みです。

これらは売買価格の目安になるほか、公共用地の取得価格の基準としても使われます。ニュースで「地価が上がった」と報道されるのは、これらの発表を受けてのことです。

📅 公的地価の発表スケジュール

公示地価
調査:1月1日時点
発表:3月頃
基準地価
調査:7月1日時点
発表:9月頃

022024年の特徴:商業地が牽引、住宅地も上昇

Q
今年の基準地価、全体的にどんな傾向でしたか?
ひと言で言うと「かなり上がった」年です。特に商業地の上昇が全体を引っ張っています。住宅地も引き続き上昇傾向にあります。ただ今回の地価を現場目線で読み込んでいくと、単純な「上昇」よりもエリアによる明暗がはっきり出始めたことの方が重要なポイントだと感じています。

03「ブランド地名」神話の崩壊が始まっている

Q
「エリアによる明暗」とは、具体的にどういうことですか?
以前の東京の不動産では、「城南エリア(目黒区・世田谷区など)が高く、北に行くほど安くなる」というのが大まかな常識でした。地名やエリアのブランドイメージが価格を引っ張っていたわけです。しかし今回の基準地価を見ていると、この構図が明らかに崩れてきています。たとえば当社の営業店がある板橋区の一部地域が、従来より価格が高いとされていた中野区の地域を上回るケースが出てきているんです。

世田谷区の中でも、「ここは上がっているけど、こっちはあれ?」という場所が出てくるなど、区単位ではなく、もっと細かい単位で地価の動きが変わってきています

Q
なぜブランドよりも実態が重視されるようになったんでしょう?
よく例えるのが「品川ナンバー」の話です。かつて都内では品川ナンバーが一番人気で、次に練馬ナンバー…という序列がありましたよね。「品川ナンバーってかっこいい!」という時代があった。でも今の若い世代に「品川ナンバーって知ってる?」と言っても「は?」という反応が多いんです。「それってどういう意味があるんですか?」と聞かれた時に、合理的な答えが出ないものは、もう価値を維持できなくなってきています。

不動産のブランド地名も同じで、「なぜその地名が高いのか」を説明できないものは、若い世代に刺さらなくなってきているんです。

04Z世代が変えた不動産の価値観

Q
今の若い世代は、住む場所をどのように選んでいるんですか?
今、家を買う世代がZ世代に近づいてきています。彼らの価値観は「ぼんやりとしたイメージ」ではなく、具体的で合理的です。たとえば「新宿駅から10分圏内ならば、主要路線である必要はない」「池袋駅から15分圏内なら、北区の上の方でも埼玉県側でもいい」という考え方です。

さらに、子育てのしやすさ、地域の環境、商店街の充実度といった「暮らしの質」を重視するようになっています。区の名前や路線のブランドより、実際に住んでみてどれだけ快適かが判断基準になっているんです。

🏠 Z世代の住まい選びのポイント

  • 主要ターミナル駅への「所要時間」で選ぶ(路線ブランドより時間重視)
  • 子育て環境・保育所・公園の充実度
  • 商店街・スーパーなど日常生活の便利さ
  • 緑・自然環境・のんびりした住環境
  • 区や地名のブランドは重視しない

05「のの字理論」の変容:エリアの中に潜む格差

Q
「のの字理論」という言葉が出てきましたが、どういう意味ですか?
不動産業界では昔から「東京の地価は”のの字”に動く」と言われていました。「の」という字を思い浮かべてください。真ん中が都心(都心部)、そこから「の」の字を書くように、城南エリア(南)→ 城西エリア(杉並・中野・練馬)→ 城東エリア(江戸川区など)の順で地価が下がっていく、という考え方です。

ただ今回の基準地価を見ると、この「のの字」がより小さな単位でも起きていることがわかります。板橋区の中でも「ここは高いけどここは安い」という”区内ののの字”があったり、中野区内でも同様の格差が生まれています。

つまり「板橋区だから安い」「中野区だから高い」ではなく、同じ区の中でも場所によって全く違う動きをするようになっています。

06「街力」で選ぶ時代へ

Q
結局、今後地価が上がる街とそうでない街の違いは何ですか?
一言で言えば「街力(まちりょく)」の差です。住みやすさ・子育て環境・商店街の活気・公園や緑の多さ…そういった実際に暮らした時の質が高いところは、ブランド地名に関係なく選ばれるようになっています。当社の営業店最寄りの板橋区役所前駅周辺も、マンション開発が進んでいるのに加えて、住みやすさで人が集まり始めています

逆に言えば、地域の商店街を活性化させたり、子育て支援を充実させたりすることが、街全体の不動産価値の向上に直結する時代になってきたということです。街づくりが自分たちの資産価値を守ることに繋がる。そういう健全な構造になってきていると思います。

かつての「相対価値(あの区よりこっちが高い)」という考え方から、「絶対価値(この街は暮らしの質が高いから良い)」へ。不動産の価値の基準が根本から変わりつつあります。

07注目キーワード「となり駅」に次の上昇チャンスあり

Q
今後、地価が上がりそうなエリアを見極めるヒントはありますか?
私がよく使う表現で「となり駅」という考え方があります。たとえば練馬駅の隣の中村橋駅や富士見台駅のように、急行停車駅のひとつ外側の駅のことです。今まではターミナル駅から一個外れると途端に価格が下がっていましたが、これからはこういった「となり駅」エリアが大きく上がっていくと見ています。

理由は先ほどの価値観の変化です。電車に乗るのは朝夕1〜2回だけ。普段の生活の豊かさで街を選ぶ人が増えているので、「繁華街っぽくなくても、緑があって公園があってのんびりできる」となり駅エリアが注目されるのは自然な流れです。

今の地価ではまだ割安感があるエリアも多く、早めに目を向けることで良い買い物ができる可能性があります

Q
「急行が止まる駅 = 便利 = 高い」という考え方はもう古いんでしょうか?
急行・特急が止まる駅が便利なのは事実です。ただ、考えてみてください。電車に乗るのは朝と夕方の1〜2回。降りてしまったら、あとは地元の街で暮らすわけです。だとすれば、「急行停車駅か否か」より「降りた後の街が住みやすいか」の方が、日常の満足度に直結します。これが「となり駅」に人が流れ始めている本質的な理由です。

急行停車駅の「絶対的な価値」はこれからも残りますが、その周辺との価格差は縮まっていくと予想しています

08まとめ:街を自分の目で見て選ぼう

Q
これから家を買おうと考えている方へ、アドバイスをお願いします。
ひとつお伝えしたいのは、「まだ価値が発見されていない良い街がたくさんある」ということです。地名やブランド、路線の名前だけで判断するのではなく、実際に街を歩いて、商店街の活気、公園の質、子育て環境を自分の目で確かめてみてください

今回の基準地価の動きは、そういった「街の実力」を正直に反映し始めています。自分たちの価値観に合った街を、先入観なく選ぶことが、良い買い物・良い暮らし・資産価値の維持につながると思います。

不動産会社に相談する際も、そういった街の実情をきちんと説明できるプロに話を聞いてみてください。

📌 2024年基準地価から読み取る 家選びの新常識

  • 区名・路線名のブランドより「住んでみての快適さ」で選ぶ時代
  • ターミナル駅への所要時間で候補を広げると選択肢が増える
  • 「となり駅」エリアに割安で良質な街が眠っている可能性がある
  • 商店街・子育て環境・緑の多さが地価上昇のカギを握る
  • 区内でも場所によって地価の動きが全く異なる時代に
  • 街を自分の目で歩いて確認することが一番の判断材料

街選び・不動産のことはお気軽にご相談ください

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