
LIFULL HOME’Sが運営する不動産情報サイト「HOME’S PRESS」にて、時事解説を寄稿させていただきました。
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医療的視点でも進めるべき省エネ基準
省エネ基準適合義務化と住宅市場の変化について
- Q1: 2025年4月から何が変わったのですか?
- Q2: 義務化後の4月はどうなりましたか?
- Q3: これからが心配ですが、今後どうなるのでしょうか?
- Q4: 4月の大幅減は一時的な反動なのでしょうか?
- Q5: 5月の具体的な数字を教えてください。
- Q6: 特にどの分野の減少が目立っていますか?
- Q7: この減少は省エネ基準義務化の影響と考えていいのですか?
- Q8: 経済全体への影響はありますか?
- Q9: それなら省エネ基準の引き上げを止めるべきでは?
- Q10: なぜそこまで省エネ基準にこだわるのですか?
- Q11: 室温が18度未満だと、どんな問題があるのですか?
- Q12: 大手住宅メーカーの状況はどうですか?
- Q13: 日本の住宅政策にはどんな問題がありましたか?
- Q14: なぜそのような状況が続いていたのですか?
- Q15: 現在の方向性は正しいと考えていいのですか?
- Q16: 既存住宅の省エネ対策はなぜ重要なのですか?
- Q17: 既存住宅の省エネ対策には何が必要ですか?
- Q18: 既存住宅を選ぶ際に気をつけることは?
Q1: 2025年4月から何が変わったのですか?
A: 2025年4月から、新築住宅に省エネ基準適合が義務化されました。この影響で、2025年3月の住宅着工戸数は駆け込み需要が集中し、8万9,802戸(年率換算で108.4万戸)と大幅な着工戸数増加となりました。
Q2: 義務化後の4月はどうなりましたか?
A: その反動も想定通りで、4月の住宅着工戸数は5万6,188戸と前月より4割近く落ち込みました。
Q3: これからが心配ですが、今後どうなるのでしょうか?
A: さて、問題はその後です。諸外国に比べ著しく低いとされる我が国の新たな省エネ基準が今後市場に浸透していくのか、新たな省エネ基準による建築費の高騰が正しく価格に反映され、スタンダード化することができるのかが試されていると言えます。
Q4: 4月の大幅減は一時的な反動なのでしょうか?
A: 大幅減となった4月は「反動」だったで済まされるのか、それとも「市場縮小」に向かうのかが問われています。先日発表された5月の数字は、さらにそれを上回る大幅な着工戸数の減少という結果となりました。
Q5: 5月の具体的な数字を教えてください。
A: 4万3,237戸と4月よりもさらに減少し、前年同月比-34.4%となり、年率換算でも52.9万戸と統計上でさかのぼれる2004年3月以降で最低となりました。
Q6: 特にどの分野の減少が目立っていますか?
A: 顕著なのは比較的安定的に推移してきた「貸家」の着工戸数の大幅減少でもあります。
Q7: この減少は省エネ基準義務化の影響と考えていいのですか?
A: もちろん、6月以降の数字を見なければ結論は出せないものの、明らかに省エネ基準適合義務化が与えた影響は大きいと言えます。
Q8: 経済全体への影響はありますか?
A: また、このペースで行くとGDPへの影響も懸念され、成長率を押し下げることによる経済的な影響も出てくるでしょう。
Q9: それなら省エネ基準の引き上げを止めるべきでは?
A: しかし、だからといって省エネ基準の引き上げを止めることはありません。2030年のさらなる引き上げに向けて歩みを止めるべきではないと考えます。
Q10: なぜそこまで省エネ基準にこだわるのですか?
A: 2018年11月、WHO(世界保健機関)は「住宅と健康に関するガイドライン」を公表し、その中で各国に「冬は室温18度以上にすること」を強く勧告しました。しかし、国土交通省スマートウェルネス住宅等推進事業調査によると、我が国の住宅の9割が18度未満であるとされています。
Q11: 室温が18度未満だと、どんな問題があるのですか?
A: 18度を下回ることで起きる「血圧上昇」に代表されるリスク上昇など、高齢社会を迎えた今、医療面から見ても住まいの省エネは極めて重要であると言えます。
Q12: 大手住宅メーカーの状況はどうですか?
A: こうした背景の中、大手住宅メーカーはより省エネ性能の高い住宅を市場に提供し、販売も好調な状況から、市場における適切な供給者の選別が顕著になっているとも考えられます。
Q13: 日本の住宅政策にはどんな問題がありましたか?
A: これまで、日本の住宅政策では新築への供給制限がないことが度々指摘されてきました。深刻な空き家問題が生じてもなお、大量の新築供給が行われてきました。
Q14: なぜそのような状況が続いていたのですか?
A: 住宅政策が経済対策として利用されてきた中、ある意味ぬるま湯に浸かっていた市場だったと言っても過言ではありません。
Q15: 現在の方向性は正しいと考えていいのですか?
A: そういう意味においても、現状の方向性は正しく今後も継続されていくべきでしょう。そして、同時に進めていくべきは既存住宅の性能の向上です。
Q16: 既存住宅の省エネ対策はなぜ重要なのですか?
A: 新築住宅の価格が高騰し、そこにさらなるコスト増となる省エネ基準適合という市場において、流通が活性化する既存住宅における省エネ対策をどう整理していくのかが課題です。
Q17: 既存住宅の省エネ対策には何が必要ですか?
A: そこには不動産業界だけではできないリフォームの視点がポイントとなるでしょう。
Q18: 既存住宅を選ぶ際に気をつけることは?
A: 新築価格高騰の逃げ道としての、安かろう悪かろうの既存住宅であってはならないのです。
まとめ: 省エネ基準適合義務化により住宅市場は大きな転換点を迎えています。短期的には着工戸数の減少やコスト増という課題がありますが、健康で持続可能な住環境の実現に向けて、新築だけでなく既存住宅の性能向上も含めた総合的な取り組みが必要です。


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