【大相続時代】空き家を放置するとどうなる?相続不動産の正しい向き合い方

売却の相談
団塊の世代が75歳を超え、日本はいよいよ「大相続時代」に突入しました。親の持ち家・実家が一斉に相続される時代が来ています。2024年からは相続登記の義務化もスタート。「とりあえず置いておく」がもう通用しない時代になりました。空き家と相続不動産について、今すぐ知っておくべきことを解説します。

01いよいよ本格化する「大相続時代」とは

Q
「大相続時代」という言葉をよく聞くようになりました。何がそんなに大きな問題なんですか?
相続が増えること自体は昔から言われていましたが、多くの人がなかなか「自分ごと」として実感できていなかったんですよね。わかりやすく言うと、地球温暖化と同じです。何十年も前から警告されていたのに、ここ数年で豪雨や酷暑を実際に体感するようになってはじめて「本当にまずいんだ」と感じるようになってきた。相続も今まさにその段階に来ています。

大きな要因は団塊の世代が75歳を超えてきたことです。親世代が一斉に高齢期を迎え、相続が次々と発生する時代に突入しました。「いつか来ること」がいよいよ「今すぐの問題」になっています。

02相続登記が急増中!データで見る相続の現状

Q
実際にデータで見ると、相続はどのくらい増えているんですか?
2013年から2023年のデータを見ると、不動産に関する登記全体は約900万件から725万件へとむしろ減っています。売買による所有権移転登記も約128万件でほぼ横ばいでした。ところが、相続による所有権移転登記だけは約85万件から約125万件へと、この10年で1.4〜1.5倍に急増しています。

さらに2024年からは相続登記の義務化がスタートし、過去分を含めて手続きが必要になるため、今後もどんどん増加していくと見ています。

📊 相続登記の推移(2013年→2023年)

登記全体
900万件 → 725万件
(減少傾向)
売買移転登記
約128万件で横ばい
(10年間)
相続移転登記
85万件 → 125万件
(1.4〜1.5倍に急増)
📋 2024年スタート|相続登記の義務化

相続した不動産は、相続を知った日から3年以内に登記することが義務になりました。過去の相続分も遡って対象となります。正当な理由なく放置した場合は10万円以下の過料が課せられる可能性があります。

03空き家放置の新リスク:固定資産税が上がる!

Q
「建物を残しておけば固定資産税が安い」と聞いていたのですが、もうそれは通用しないんですか?
以前は確かにそうでした。更地にせず建物を残しておけば固定資産税が安くなる特例があったため、使ってもいない古い家を放置する人が多かったんです。ところが今は状況が変わっています。「特定空家」や「管理不全空家」に指定されてしまうと、建物が残っていても固定資産税の軽減措置が適用されなくなり、税額が大幅に上がります

つまり空き家を放置すると、維持管理費(草むしり・水道代など)に加えて固定資産税まで跳ね上がるという二重のペナルティが課されるリスクがあります。

⚠️ 空き家放置で起こりうるコスト増

管理費用(草むしり・清掃・水道維持など)がかかり続けるうえ、管理不全空家に指定されると固定資産税の軽減特例が外れ、税額が最大で約6倍になる可能性があります。「とりあえず残す」は、実は高コストな選択になりかねません。

📋 空き家に関する主な制度

特定空家:倒壊の恐れがある・衛生上有害などの空き家。行政が代執行(強制解体)できる。

管理不全空家:特定空家になる前段階。行政が勧告でき、固定資産税の軽減特例が外れる。

04「空家等管理活用支援法人」制度とは?

Q
「空家等管理活用支援法人」という制度を最近耳にしたのですが、どんな制度ですか?
令和5年(2023年)12月に施行された制度です。空き家問題が深刻すぎて、行政だけでは手が回らなくなってきたため、民間事業者に一部の権限や役割を与えて空き家管理をサポートしてもらう仕組みです。全国の市区町村単位で毎月のように申請が行われていて、特に地方では活発に動いています。これはつまり、それほどまでに空き家問題が社会的な危機になっているということを示しています。

行政の手が届かないほどの件数が発生しているという現実を、ぜひ知っておいてほしいですね。

05売る・使う・貸す?空き家の判断の仕方

Q
相続した家、すぐに売った方がいいんでしょうか?
「使うかどうか」がすでに決まっている場合は、使わないなら早めに売りに出した方がいいと思います。問題は「いずれ使うかもしれない」という中途半端な状態が一番厄介なんです。実際にご相談に来られる方で「使う可能性があります」とおっしゃる方が多いのですが、ご夫婦でよく確認してみると実はどちらか一方しかそう思っていないケースがほとんどです。そのまま放置すると、後になって夫婦間で問題が顕在化します。

使うメリットが明確にあるなら持ち続けていい。ただし「貸す」「売る」「使う」の選択肢を早めに整理して、家族で共有することが大切です。

🏠 相続不動産の選択肢と判断ポイント

  • 売却:使う予定がないなら早期決断がベスト。空き家の維持コスト削減にもなる
  • 賃貸(貸す):収益を生みながら資産を保有できる。管理会社を通じた運用も検討可
  • 活用(使う):セカンドハウス・別荘・事業利用など。目的が明確ならあり
  • 国庫帰属制度:誰も使わない土地を国に引き取ってもらえる制度(条件あり)
  • 物納:相続税を現物の不動産で納める方法。ただし境界確定が必要

06「悩んでいる」と「迷っている」は違う。判断のタイミング

Q
決断できなくてズルズルしてしまいがちです。どうすればいいでしょう?
「悩んでいる」と「迷っている」は全然違います。迷っている人は、まだどうするかの方向性が定まっていない状態。悩んでいる人は、「売るか使うかどちらかにしよう」という二択はすでに決まっていて、あとは自分の背中を誰かに押してもらいたいだけなんです。そういう方の背中を押すのも、私たちの仕事です。

ただ、相続は「物」だけでなく「親との思い出・感情」も一緒に相続しているものです。だから簡単にはいかないこともある。それは当然のことです。

だからこそ「一周忌を目安にする」「三回忌までに決める」という形で、自分たちに期限を設けることをおすすめしています。ご相談に来られる方も、一周忌を終えたタイミングで来られる方が多いですよ。

親との思い出が詰まった実家をすぐに手放すことへの抵抗感は自然なことです。無理に急ぐ必要はありません。ただ「決断の期日」だけは、家族で決めておくことが大切です。感情の整理と、法律・費用の問題は切り分けて考えましょう。

07後悔しない売却のための事前準備

Q
売ると決めた場合、事前に何を確認・準備しておくといいですか?
まず確認したいのが「その不動産が売れるかどうか」という流通性の問題です。マンションなら比較的流動性がありますが、土地・戸建ての場合は「道路への接道条件」「建て替えができる土地かどうか」を確認することが重要です。これは行政(役所)に行けば親に聞かなくても自分で調べられます。

また、インターネットで周辺の成約価格を調べれば大まかな相場感はつかめます。「これぐらいで売れる」とわかるだけで、判断がぐっとしやすくなりますよ。地方の物件でも、まずは専門家に「売れますか?」と聞いてみてください。

08最重要ポイント:隣地との「境界」問題

Q
「境界」がよく問題になると聞きますが、なぜそんなに重要なんですか?
土地や戸建ての売却において「隣地との境界が確定していないと売りづらい」というのは非常によくある問題です。「自分の土地がどこまでなのか」が曖昧なままでは、買い手が安心して購入できません。さらに、相続税の物納(税金の代わりに不動産を国に差し出す方法)や、誰も使わない土地を国に引き取ってもらう国庫帰属制度を使いたいときも、境界が確定していないと受け付けてもらえません

もし親御さんと話せる今のうちに「この家はここまでだよね」という境界の確認と、隣の方からの承認(境界確認の印鑑)を取っておくことができれば、将来の売却がとてもスムーズになります。

Q
親がすでに隣人と仲が悪い場合、境界の確認は難しいですよね?
これが「トラブルの相続」です。物の相続、感情の相続に加えて、近隣トラブルまで相続してしまうケースが実際にたくさんあります。隣人が印鑑を押してくれないと境界が確定できず、売るに売れない状態になってしまう。これは本当に多い悩みです。

でも、ひとつだけ効果的な方法があります。親と隣人が仲悪くても、自分(子ども)が手土産を持って挨拶に行くことです。「久しぶりに帰ってきました」と一声かけるだけで、関係がぐっとほぐれることがあります。「息子さんには罪ないよね」という関係を作っていくことが、将来の境界確認をスムーズにする一番の近道です。

09今すぐできる準備:隣人とのコミュニケーション

Q
まだ相続は先の話ですが、今からできる準備はありますか?
今すぐできることで一番効果的なのは、実家に帰ったときに隣の方に挨拶をすることです。「東京から買ってきました」と小さな手土産ひとつ持って行くだけで十分です。「そんな気にしなくて良いのに」という反応から始まって、自然と会話が生まれる。親と隣人のしがらみとは別に、自分自身の関係を作っていくことができます。

これが将来の境界確認、売却交渉のときに大きく効いてきます。不動産の問題はコミュニケーションで8割が解決する、と言っても過言ではありません。

✅ 相続前にできる「今すぐの準備」まとめ

  • 実家に帰ったとき、隣の方に手土産を持って挨拶する
  • 親が元気なうちに「家の境界(どこまでが自分の土地か)」を確認しておく
  • 行政窓口で接道条件・建て替え可否を調べておく
  • インターネットで周辺の不動産相場を把握しておく
  • 家族(夫婦・兄弟)で「相続後どうするか」を事前に話し合う
  • 「一周忌までに決める」など、判断の期日を家族で設けておく

相続不動産の問題に「完璧な正解」はありません。ただ「先送りしない」という姿勢だけは、どんな状況でも正解です。維持コストが上がり続ける前に、専門家に相談して選択肢を整理しておくことをおすすめします。

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