「不動産会社に変動金利を勧められたけど、本当に大丈夫?」——そんな不安を抱えながら住宅購入を検討している方は多いはずです。金利が上がってきている今、変動と固定どちらを選ぶかは、将来の家計を大きく左右する重大な判断です。
このページでは、不動産のプロが読者からの質問に答える形で、住宅ローンの金利選択で失敗しないための考え方をわかりやすく解説します。
01
なぜ不動産会社は変動金利を勧めるのか?
Q
担当の不動産会社の方から「変動金利の方がお得ですよ」と勧められました。でも金利が上がっているニュースも見かけます。変動金利を勧めてくるのはなぜですか?
不動産会社は、あなたに家を買ってもらいたい立場です。当然ながら、月々の支払いが安く見える方が「買いやすい」と感じてもらえます。変動金利は固定金利より金利が低いため、月々の返済額が小さく見える。だからこそ、不動産会社には「変動金利を勧めた方が成約しやすい」というバイアス(先入観)がかかるんです。もちろん悪意があるわけではありませんが、不動産会社の利益とあなたの長期的な利益は、必ずしも一致しないことは知っておいてください。
02
今後の金利はどうなる?最新の政策動向
Q
実際、今後の金利はどうなると予想されていますか?上がるんでしょうか?

銀行は金利を上げたくてたまらない状態です。直近では2025年12月の金融政策決定会合で政策金利が0.75%に引き上げられました。2026年1月の会合では見送られましたが、年内のどこかで必ず上がるというのが一般的な見立てです。国際情勢など不確実な要素もあって「上げたいけど上げづらい」という局面ではあります。ただ、「上がらない」と考えるのはリスクが高すぎます。金利は上昇方向であることを前提に計画を立てておくことが大切です。
03
変動から固定に「スイッチ」できない落とし穴
Q
「金利が上がってきたら固定金利に切り替えればいい」と考えていたのですが、それでは駄目なのですか?

これが非常に重要なポイントです。「いよいよ金利が上がってきたから固定に切り替えよう」と思った頃には、固定金利の方がさらに大きく上がってしまっているというのが現実です。変動金利は短期金利に連動し、固定金利は長期金利に連動します。固定金利は将来の金利上昇を先読みして動くため、「いよいよ」と感じた時点では、すでに固定金利はかなり高くなっているのです。結果として、スイッチしたくてもできない——これが「詰む」状態です。
⚠️ これが「詰む」パターンです
変動金利で借りる → じわじわ金利上昇 → 固定に切り替えようとする → でも固定金利はもっと上がっている → スイッチできず変動のまま返済が苦しくなる
変動金利で借りる → じわじわ金利上昇 → 固定に切り替えようとする → でも固定金利はもっと上がっている → スイッチできず変動のまま返済が苦しくなる
04
具体的にいくら上がる?シミュレーションで確認
Q
実際に金利が上がると、毎月の返済額はどれくらい変わるのですか?具体的な数字で教えてください。

具体的な数字で確認してみましょう。6,000万円を金利1%・35年返済で借りたとすると、月々の返済額は約169,000円です。10年後に残債が5,000万円になった時点で金利が3%になると——
📊 返済額シミュレーション(概算)
借入時(金利1%)
6,000万円 35年返済
6,000万円 35年返済
169,000円/月
借入当初
10年後(金利3%に上昇)
残債5,000万円 残25年
残債5,000万円 残25年
237,000円/月
約+68,000円/月の増加
※概算値。実際の返済額は借入条件により異なります。
Q
月7万円近く上がるんですか!それが子供の教育費がかかる時期と重なったら……

そうです、それが最も危険なシナリオです。すぐに3%まで一気に上がることはないでしょうが、じわじわと上がっていく可能性は十分にある。そのタイミングが子供の進学・教育費ラッシュと重なると、家計は本当に苦しくなります。だからこそ事前に「現在の金利+2%になっても返済できるか?」というシミュレーションを必ず行っておく必要があります。今の金利が0.9%なら、3%になっても大丈夫かどうか——これが変動金利を選ぶ上での最低ラインの確認です。
05
変動金利の「5年ルール」を知っていますか?
Q
変動金利って、金利が上がったらすぐ毎月の返済額も上がるんですか?

実は多くの方が勘違いしているポイントです。一般的な銀行の変動金利ローンには「5年ルール」があります。金利自体は年2回(4月・10月)に見直されますが、毎月の返済額は5年間変わらない仕組みになっています。「じゃあ安心では?」と思うかもしれませんが、そうではありません。返済額が変わらない代わりに、元金と利息の内訳が変わります。金利が上がると、返済額のうち利息の割合が増え、元金の減りが遅くなる——つまり借金がなかなか減らない状態になるのです。後々、返済期間を延ばすか返済額を増やすかで帳尻を合わせることになります。
Q
変動金利の実際の見直しはいつ反映されるのですか?

金利見直しは4月と10月ですが、実際の返済額への反映はさらに2ヶ月後——つまり6月と12月が一般的です。2025年12月に政策金利が引き上げられているため、2026年6月から変動金利の実質的な上昇が反映されてくることになります。今、金利が動いている実感があまりないとしたら、それはこのタイムラグのせいです。でも、すでに動きは始まっています。
06
今すぐ買うべき?タイミングの正解
Q
金利が上がる前に6月までに買った方がいいですか?それとも待った方がいいですか?

変動金利に関しては「今買っても半年後に買っても、どこかで金利上昇の影響は受ける」ので、タイミングの差はそれほど大きくありません。ただし固定金利(フラット35など)については話が別です。固定金利は借りた時点の金利がずっと続きます。これから固定金利も上がっていくことが見込まれる中で、「固定金利が上がりきる前に借りる」という判断には一定の合理性があります。10年後に高くなった固定金利に切り替えるより、今の段階で固定金利をスタートできる方が長期的には有利になるケースも十分あります。
07
プロが教える「詰まない」住宅購入の考え方
Q
結局、変動と固定どちらを選べばいいのですか?後悔しないための考え方を教えてください。

最も大切な考え方は「固定金利でも払える金額に予算を逆算する」ことです。変動金利で買えるギリギリの物件ではなく、固定金利の返済額でも問題ない予算の物件を選ぶ。それが「詰まない」住宅購入の本質です。また、不動産価値が下がった際にローンが残ってしまうと売ることもできなくなります。将来の売却可能性も含めて、「返せなくなった時にどうなるか」まで想像しておくことが重要です。
✅ 住宅ローン選びの確認リスト
- 現在の金利+2%になっても毎月の返済が続けられるか、シミュレーションした
- 子供の教育費がかかる時期と、金利上昇のタイミングを重ねて考えた
- 固定金利の返済額で予算を逆算し、それに収まる物件を選んでいる
- 不動産価値が下落した場合にローン残高が上回るリスクを把握している
- 変動を選ぶ場合、最低でも20〜30年後の金利水準の想定シナリオを持っている
- 不動産会社ではなく、中立的な専門家(FPなど)にもアドバイスを求めた


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